【第12話】二つに一つ -前編-

オリジナル小説作品
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人生は選択の連続だ。何かを得るためには何かを失わなければならない。もし目の前に提示された選択肢でどちらかを選ばなければいけないとしたら、何を基準に判断するだろうか。

このお話は、真実を追い求めるあまり究極の二者択一を迫られることになったある若者の話だ。

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越えられない過去

駅前のファミレスは今日もランチタイムのお客でごった返していた。入り口には長蛇の列が出来、店内では注文を取るアルバイトの声と、季節感の無いBGMが入り混じっている。今日のランチセットはエビフライ定食だったが、作るのに時間がかかるメニューにも拘わらず人気メニューの一つだった。

厨房で調理補助のアルバイトに汗を流すのは、今年25歳になる新島 隼人(にいじま はやと)だ。なかなか定職に就けず、学生時代から続けているアルバイトで働いていた。隼人は自分の今の状態に不満を持っていた。同級生は殆どが起業に就職し収入に安定し始めたころで、早いものは結婚式の招待状をももらった友達もいた。自分はアルバイトに明け暮れる日々で、結婚どころではなかった。

しかし、隼人には彼女が居た。同じファミレスでウェイトレスとして働く間々田 佐智子(ままだ さちこ)だ。中学時代の後輩で、2年前にアルバイト先へ入ってきて偶然再会した。佐智子は山梨県の出身だったことから、上京して知り合いもいない時に隼人と恋に落ちた。隼人は佐智子の事を大切に思っていたが、自分の中に越えられない過去があり、佐智子に後ろめたい気持ちがあった。だからこそ、アルバイト生活からも抜けられず、どっちつかずの状態が継続しているのだ。

隼人が抱える後ろめいた気持ちには理由があった。

実は、隼人の家族はある理由がきっかけで地元の山梨県から引っ越してきた。隼人は生まれた時には東京に住んでいたが、21歳の時に山梨の叔母が引っ越してきて一緒に住むことになった。というのも、隼人の祖父が殺人事件の加害者であり、地元に居続けることが出来なくなったというのが理由だった。その後、叔母と同居していた祖母が謎の死を遂げて叔母一人になってしまったので、姉弟である隼人の父を頼って、都心での同居を始めたのだ。

隼人はこの事実を佐智子に伝えられずにいた。当然祖父が殺人の加害者であるという点はなかなか言い出せないのも無理はないが、もう一つ隼人には言い出せない理由があった。それは、祖母の死の理由が分からないのだ。当時は事件の後、見舞いでもらった和菓子の中に毒が混入しており、それを食べた祖母が死亡したため何者かによる毒殺として警察も捜査をしていたが、今でも犯人が分からず事実上捜査としては打ち切りになっている。

隼人は、自分の家族が誰かに恨まれているのかという思いと、それが誰なのか分からない恐怖に、佐智子との関係性が進展しないまま時間だけが過ぎていた。父や叔母に当時の事を聞こうとしても、家族の中ではタブーとされており、祖父が人を殺めてしまった、その後何者かによって祖母が殺害されたということ以外はあまり知らされていなかったのだ。

一方、佐智子の方はというと、幼い頃に生き別れの母が居り、今でも懸命に探している。京都に強力な霊媒師がいると聞いて、近々会いに行く予定だと隼人に話していた。

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祈祷師の話

その日は、隼人も佐智子も遅番のシフトでバイトに出ていた。ランチタイムは客の入れ替わりが激しく忙しいが、ディナータイムは酒の注文が増え酔った客のトラブルも多くなるので、それはそれで面倒だった。ラストオーダーを終え閉店の22時になって最後の客の会計が終わると、隼人は厨房の掃除、佐智子はホールの片づけをしていた。

すべての仕事が終わったのは22時40分を回った頃だった。隼人は実家に住んでいるが、その近くに佐智子もアパートを借りていたため、だいたい帰りは二人で帰っていた。ファミレスから家までは徒歩で20分ほどのところにあり、雨が降ったりしたときは自転車で10分弱あれば帰れる距離だった。二人がいつものように並んで歩道を歩きながら他愛もない話をしていると、佐智子がある話を思い出したように隼人に話し始めた。

『隼人明日って休みだよね?もし予定が無ければ付き合ってほしいことがあるんだけど。』

どうやら佐智子は以前から話していた霊媒師のところに行く予定らしい。ただ、京都なので一人で行くのも不安なため、できれば付いてきて欲しいというのが佐智子の頼みだった。隼人は特に予定が無かったが、電車代の工面をしなければと考えながら、佐智子の頼みを了承した。何でも有名な霊媒師らしく予約制になっているので佐智子の予約は14時からという事だったので、10時に横須賀中央駅で電車に乗れば何とか到着できるだろうとのことで、9時半に待ち合わせをすることにした。

次の日、予定通りの電車に乗った二人は、ちょっとした旅行気分で新横浜からの新幹線に揺られていた。京都で在来線に乗り換え、『河原町』という繁華街に到着したのは13時半ごろだった。河原町は京都の中心部に位置する街で、歴史的な観光スポットや飲食店が立ち並ぶ場所だ。祇園や錦市場なども近く、桜や紅葉も楽しめるような土地で、京都らしさにあふれた街に二人は目を輝かせていた。

表通りからタクシーに乗って指定された神社に着くと、予想していたよりも小さな神社に二人は少し意気消沈した。町並みが華やかだっただけに、その対比で寂れた神社に見えたからだ。予約した時間まで10分程度の余裕があったので、二人はとりあえず財布を漁って賽銭箱に投げ入れお参りをした。霊媒師が居る建物は境内の隅の方にあるプレハブのような所で、ここでも二人は少し拍子抜けしたが、これから対面する霊媒師はさぞかし力のある人なんだろうと期待を膨らませていた。

予約の時間になり名前を呼ばれてプレハブの中へ通されると、外見からは想像が出来ないほど『それっぽい部屋』だった。壁には窓がなく、部屋の奥にはお札のようなものがたくさん貼られていて、四隅には盛り塩と神棚のようなものがあった。二人の目を引いたのは、霊媒師が座っている奥の壁に大きな鏡だった。床から天井まで届く高さで幅は3メートルほどあるような大きな鏡だった。霊媒師が居るところは鏡がある壁以外は簾で仕切られており、2メートル四方ほどの空間に霊媒師が座っていた。

『お名前と生年月日、お望みの内容を教えてください。』

隼人と佐智子が用意された座布団に腰を下ろすと霊媒師がそう話したが、ここでも二人は驚きを隠せなかった。霊媒師の声が若い女性の声だったからだ。二人はてっきり初老の男性が出てくると思ったが、どうやらこの霊媒師は神社の巫女らしく、力が強いという事で巫女の仕事の合間にこうして訪問者の悩みを聞いたり手助けをしているという。後に聞いた話では、名前は浜野 佳代(はまの かよ)というらしい。

『なるほど。幼いころに被災された地震の時に、避難先でお母様と逸れてしまったという事ですね。それからお母様から連絡などはありましたか?』

佳代は二人と同じような、普通の若者が話すような口調で佐智子に対して母との関係性や事実関係を深堀して質問した。一通り佐智子の話を聞き終わった佳代は、鏡のある壁の方へ向き直って長い線香のようなものを持ちながら、何やら祈祷を始めた。その間隼人と佐智子には目を瞑ってお祈りしてくださいと告げ、祝詞のようなものを上げ始めた。5分ほど続いた祝詞が終わると鈴の付いた何かを振るような音が聞こえて、しばらくすると目を開けていいと佳代は二人に告げた。そして、佐智子の顔をじっと見つめながら次のように話し始めた。

『まず、安心してください。お母様はご存命でいらっしゃいます。しかし、震災の時に右足を骨折なさって、今は茨城県にお住いの様です。どうやら、震災の時に負傷した人を受け入れる病院がいっぱいだったようで、多くの人が他県の病院へ搬送されました。その中で、お母様は茨城県の病院へ搬送され、その後、近くに住んでいるご親戚の方へ連絡を取り、今はご親戚の方とお住まいになっているようです。』

佳代は喋り方こそ普通だったが、か細く吐息のような声で佐智子にこう告げた。佐智子は嬉しさのあまりハンカチで顔を押さえたが、顔を上げた時には笑顔だった為、隼人は一緒についてきて良かったと思った。

『それで、母はどこに住んでいるんですか?住所とかはお分かりになりますか?』

佐智子は前のめりになって佳代に問い詰めた。佳代はニコッと笑うと、

『この部屋を出たら、鳥居の脇にある泉水で手を清めてください。その後、鳥居の下から5歩境内に向かって歩いて、一礼した後に振り返ってごらんなさい。きっとお母様もお参りにいらっしゃいます。』

さすがに隼人と佐智子は顔を見合わせた。自分たちがここに来ることは隼人の親くらいにしか話していないし、そもそも茨城県にいる母が何故このタイミングで同じ神社にお参りに来るのか分からなかった。そんな瞬間移動のようなことが本当に起こりえるのか、佐智子は先ほどまでの感涙が嘘のように佳代の事を疑っていた。

『それから、お連れ様ですが』と佳代が続けた。

『お連れ様は、何か強く知りたいと思う事を胸の内に秘めていませんか?もし知りたいと思うなら、またこちらにお見えになってください。ただし、本当の事を知ってしまうと後悔する場合もあります。知らないほうがいいこともあります。それでも良いとご決断されたなら、いつでもお待ちしております。』

と、か細い声で隼人に告げた。次の順番が来たとのことで案内係のスタッフから声を掛けられた二人は佳代に礼を言ってプレハブの外へ出た。

プレハブの外へ出ると、佳代に言われた通り佐智子は手を清めて鳥居から歩き、境内に一礼した。そして目を瞑って振り返ると、そこには義足を付けた女性が松葉杖をつきながら立っていた。

『佐智子?佐智子だろう?母さんだよ!覚えているかい?』

女性は大声で叫んだ。確かにその女性は以前佐智子から見せてもらった写真に写っていた母とそっくりだった。佐智子は駆け寄り、『左手を見せてください!』と叫び、しばらくして『お母さん!!!』と号泣した。左手を見せてくれと頼んだのは、手首と中指の付け根に2つづつ特徴的なホクロがあったからだ。幼かった佐智子は、頭を撫でてくれた母の左手の特徴をはっきりと覚えていたのだ。

まるでマジックショーのような出来事に隼人は呆気に取られていると、佐智子が再会を果たした母に隼人を紹介していた。そして、今日は自宅に泊まっていくように促し、一緒に来ていた親戚にも挨拶をしていた。聞いた話によると、母も佐智子を探していたらしく、雑誌で見たこの神社に来てみたというのだ。偶然としか言いようのない出来事に隼人は驚いていたが、先ほどの佳代の言葉が気になっていた。

『本当の事を知ってしまうと後悔する場合もあります。知らないほうがいいこともあります。それでも良いとご決断されたなら、いつでもお待ちしております。』

佐智子に起きた奇跡を目の当たりにした隼人は、佳代から言われた言葉が祖母の死の真相だという事は明らかだった。佐智子のように願いが叶うとしたならば当然隼人も祖母の死の真相を聞いてみたいと思った。しかし、『知らないほうがいいこと』というのはどういう事なんだろうと考えると、すぐには答えが出せなかった。

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唯一の謎

例の京都での一件で母と再会した佐智子は、頻繁に母と会うようになった。とは言え、足の不自由な母を気遣って佐智子が茨城に足を運ぶことが多くなり、最初の頃は毎週通っていたそうで、隼人は休みの日でも一人で過ごすことがあった。その時間が、かえって隼人には都合が良かった。

というのも、隼人は佐智子と共に佳代のもとを訪れてからというもの、佳代の言葉が常に頭から離れなかった。自分が祖母の死の真相を知りたいと思っている事、その真相を知ることで、知らないほうがいい事実もある事、それでも知りたいと思うなら手助けできるという事を告げられた。

ある休みの日に、警備会社の人間が隼人の自宅を訪れていた。隼人の家族は殺人事件の加害者家族という事もあり、風評被害や何らかのトラブルに巻き込まれた時の対策として数台の監視カメラを自宅に設置していたからだ。その定期メンテナンスに来ていたのが警備会社だった。彼らが仕事を終えて自宅を後にすると、隼人は叔母である小野瀬 君枝(おのせ きみえ)に例の話をしてみることにした。

叔母は隼人の話を聞くと佐智子の母の事を大層驚いており、それであれば隼人が知りたいと思うなら事件の真相を知るのも時間の問題だろうと、ポツリポツリ話し始めた。叔母の話を要約すると以下の通りだ。

  • 祖父母が経営していたコンビニで、祖父が常連客を殺めた
  • 動機は、叔母の妹が高校生の時に常連客の手によって殺されたことへの報復
  • 常連客は祖母と以前恋仲にあったようだ
  • 家族の中では、祖母は毒殺されたと思っているが真相は分からない

遠い昔の出来事と痴情の縺れが絡んでくるため、あくまでも『叔母の解釈』という事になるが、事件の概要を隼人に告げた。しかしながら、隼人が一番知りたかった祖母の死の真相は、やはり叔母も分からないという事で、隼人が抱えるモヤモヤが晴れることは無かった。

隼人は中学時代にいじめを受けていた。幼少期を山梨県で過ごして父の転勤がきっかけで都心に引っ越してきたが、山梨県独特の方言が抜けず、それを馬鹿にした一部の生徒からの嫌がらせが絶えなかった。次第に隼人は学校へ行くことを拒んだが、いつも励ましてくれたのが祖母だった。祖母はいつも優しく、そして時に厳しい人でもあったが、隼人にとっては仕事で忙しかった両親の代わりになる心の理解者が祖母だった。そのため、祖母が亡くなったと聞かされた時は、膝から崩れ落ちてバイトも数日休んだほどだ。

叔母の話を聞いて、隼人の心の中では祖母の死の真相を知りたいという気持ちは一層強くなった。しかし、佳代から言われた『知る覚悟』がどうしてもつかなかった。もし、その真相の先に自分の中の『何か』を否定するような事実があったら。もし真相を知った後、自分の中の何かを失うことになったら。そう思うと隼人は踏ん切りがつかず、1か月ほどそのことについての考えが頭から離れなかった。

ある日隼人は休みを利用して、故郷である山梨県を訪れた。小学生になるかどうかくらいまでしか過ごしたことが無かったが、車窓から見える山に囲まれた風景はそれほど変わっていないように感じた。韮崎駅に到着した電車を降りた隼人は、徒歩である場所へ向かっていた。それは、かつて祖父母が経営していたコンビニがあった場所だ。

今はコインパーキングになっているその場所は交差点の近くにある商売にはうってつけの場所で、車通りも多かった。ここでたくさんの人に利用され順風満帆な経営をしていたんだと聞いた。それがある日突然規制線が張られて、ついには建物は取り壊され今のコインパーキングになった。どれもこれも過去の怨恨が原因で起きた事件によって変わってしまった。ある意味では祖父母の人生と言ってもいいこの土地に訪れた隼人は、何か感慨深い気持ちでコインパーキングを後にした。

帰りの特急列車の中で隼人は最終判断を下そうとしていた。佳代に真相を聞くか、このまま触れずに通り過ぎるか。正確に言えば、すでに隼人の心は決まっていた。たとえ何があったとしても、事実を知ることを隼人は選択した。真相の先に何があるか分からない。でも、分からないからこそ知る必要があると思った。佐智子も一歩踏み出したからこそ母との再会を果たした。きっと、自分もそうするべきなんだと強く心の中で決めた。新横浜駅で在来線に乗り換えると、隼人は自分の家へと帰っていった。

次の日に、隼人は佐智子から佳代の神社の予約の仕方を教えてもらうと、さっそく電話をして予約することにした。今度の木曜日に予約が取れたので、バイトを休むことにした。長く働いている隼人は、ほんの僅かではあるが残っていた有給休暇をここぞとばかりに使うことにしたのだ。例の事件の話をしてくれた叔母に声を掛けて、一緒に行かないかと誘ってみると特に予定もないのでという事で二人で京都へ行くことになった。

繁華街を抜けて寂れた神社に到着した二人は、緊張した面持ちで境内の方へと進んでいった。一応の作法としてお参りを済ませて暫く待っていると、あのプレハブから名前を呼ぶ声が聞こえたので中へ入っていった。前回着た時の様子を叔母には新幹線で話していたので、例の大きな鏡や盛り塩に対しても叔母はそれほど驚かなかった。

『やはりいらしたんですね。』

か細い声で佳代が喋りかけると、隼人は小さくうなずいた。佐智子がやったように、隼人も自分の名前と生年月日、そして祖母の死の真相が知りたいという事を佳代に説明した。ところが、ここで佳代が意外なことを口にしたのだ。

『本名を教えていただけますか?』

実は、隼人の苗字は元々『田村』だった。父方の祖父母と同じ姓だったが、事件があった後に苗字を変更したのだ。事件があったり何か特別な事情を抱える場合は改名することがあるが、隼人の家族もそうだった。叔母の『小野瀬』というのも改名した苗字で、旧姓は田村だった。何も話していないにも拘らず本名があることを言い当てた佳代に、隼人と叔母は少し驚いた表情で見つめていた。

『・・・わかりました。』佳代はそう呟くと、先日と同じように手を合わせて目を瞑るように二人に求めて、祝詞を上げ始めた。5分か10分か、前回よりも祝詞が長いなと感じた隼人は薄目を開けてあたりを見回してみた。そこには線香のようなものを持ちながら鏡に向かう佳代が依然と同じように座っていた。祝詞が終わって目を開けるよう指示されると、隼人は座布団の上に座りなおした。

『残念ながら、お婆様は第三者によって殺害されています。』

分かっていた事とは言え、隼人は胸の奥に衝撃を感じた。佐智子の事があってから佳代の力を信用している隼人にとっては、改めて現実を突きつけられた感じがしたのだ。ふと叔母を見ると、目頭を押さえて俯いていた。

『また、お二人にとっては残念ですが、お婆様を殺した人物は今も生きています。』

叔母が声を上げて泣き始めた。肩をブルブル震わせながら座布団にうずくまっていた。佳代が告げた言葉が、祖母を失ったこととの対比で悔しかったのだろう。隼人は叔母の手を優しくさすって宥めた。その様子を佳代は静かに見つめていた。あまりにも叔母の震えが止まないので、スタッフが叔母を部屋の外へ連れ出した。そして、一人になった隼人に佳代は続けた。

『きっと、その第三者の事を叔母様に告げたら、正気では居られなくなってしまうと思います。あなた自身もそうでしょう。また、今の叔母様の状態を考えると、これ以上先に進むとしても、日を改めたほうが良いかと思いますが。』

隼人は佳代の助言を受け入れて、自分は近くのホテルに泊まって叔母を自宅へ帰すことにした。次の日の同じ時間に改めて予約を取って、その日は一旦神社を後にすることにした。叔母は酷く震えており、駅まで送るのが精いっぱいだったが、電車が来る頃には正気を取り戻して何とか時間通りの電車に乗ることが出来た。隼人は改めて佳代の力のすごさに驚きながらも、明日全てを知ってしまったら自分はどうなってしまうのか少し不安になりながら、ホテルのチェックインを済ませてその日は早くに眠った。

後編に続く

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