『おはん』とは
『おはん』は、宇野千代が10年の歳月を費やして執筆した代表作です。第10回野間文芸賞と第9回女流文学者賞を受賞し、美しい上方言葉の告白体で、妻と愛人という二人の女性に惹かれる男の情痴のあさましさを描き出し、幽艶な幻想世界を築き上げた作品として絶賛されました。
このたびの新装カバーは、日本画家・蒼野甘夏さんによる描きおろし作品が表紙を飾ります。この機会に、改めて『おはん』の世界をお楽しみください。
作品に寄せられた言葉
発表当時、本作には多くの文学者から賞賛の声が寄せられました。
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小林秀雄氏: 「近松でも読む様な一種の味わいがあって面白かった。…作者は、時も場所も場所も不問に附し、不思議な魅力を持った話術を創案して、言葉が言葉だけの力で生き長らえたいと言っている様な、一種の小説的幻想世界を発明している。…」
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久保田万太郎氏: 「宇野さんはこの小説を書くのに十年の時間をかけたという。時間をかけた仕事のいみじさを、はっきり感じる。…」
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河上徹太郎氏: 「木で熟した果実は速成とは味が違う。二人の女にひかれる男の情痴の浅ましさを極度に抽象して、ほとんど観念的な美にまで昇華して描いている。」
著者である宇野千代自身も、「この小説のモデルは私自身であるような気がしています。おはんの中にもおかよの中にも自分がいるように思われ、話し手のあの男の気持も、自分の心中を描いたように思われます。」(「あとがき」より)と語っています。

内容紹介
物語の主人公「おはん」は、夫の心が芸妓「おかよ」に移った際、子を身ごもったことを告げずに自ら実家に退くことを決意します。おはんとおかよ、二人の女性に魅かれる浅ましくも哀しい優柔不断な男の懺悔が、頽廃的な恋愛心理とともに柔軟な感覚で描かれています。数多くの映像化・舞台化もされた、著者が十年の専心の末にたどりついた最高峰の作品です。
著者紹介:宇野千代(ウノ・チヨ 1897-1996)
1897年、山口県岩国市生まれ。1921年、短編「脂粉の顔」が「時事新報」の懸賞小説で一等に当選し、作家活動を開始しました。数多くの文化人と交流し、日本初のファッション誌を創刊、きものをデザインして銀座に店を構えるなど、多岐にわたる活躍を見せました。『おはん』で1957年に野間文芸賞、1958年に女流文学者賞を受賞。1982年には「透徹した文体で情念の世界を凝視しつづける強靱な作家精神」によって菊池寛賞を受賞しました。著書には『おはん』のほか、『色ざんげ』『生きて行く私』『風の音』『雨の音』など多数あります。1996年、急性肺炎により98歳で死去しました。
書籍データ
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タイトル: 『おはん』
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著者名: 宇野千代
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発売日: 2026年8月29日
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造本: 新潮文庫
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定価: 506円(税込)
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ISBN: 978-4-10-102702-9



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