一般部門 受賞作品
金賞:『ユイガくんの祓い方』 風花ユクさん
あらすじ
おひとよしな女の子ミカゲは「きもだめし」のお誘いを断れず、怪異スポットの「かがみ池」へ行くことになります。そこで現れた「白い手の怪異」に取り憑かれてしまったミカゲのもとに、黒マスク姿のクラスメイト、唯我(ユイガ)くんが駆けつけ、とった行動とは……。怖さの中にときめきが感じられる、心臓おさわがせストーリーです。
著者プロフィール
大阪在住。大人になっても好きなもの(推し、犬、ぬいぐるみ、白米、ホラー)が好きで、恐怖とときめきを同時に楽しめる『怖キュンホラー』がさらに広まることを願っているそうです。
受賞のことば
「すばらしい賞をいただき、誠にありがとうございます。昔から本、特にホラー作品が好きで、理不尽な恐怖に立ち向かう登場人物たちの勇気に大切なものを感じてきました。この作品でも、主人公がいきなりオバケに襲われる状況でどうするのか、ぜひその目で確かめてほしいです。選考に携わってくださった方々、そして応援してくださった方々に心より感謝いたします。」
銀賞:『大富豪・大貧民ゲーム』 そうま おわかさん
あらすじ
小学6年生の奏汰は親友の直哉と「大金持ち」になることを夢見ていました。ある日、現実を書きかえる謎のアプリ〈大富豪〉がスマホに現れます。奏汰はアプリの初戦で大富豪になり、現実でも父の投資が成功して大金持ちに。しかし、二戦目で最下位になり大貧民になると、父の投資も失敗し貧しくなってしまいます。そして、運命をかけた最後の三戦目のゲームを迎えます。ゲームとお金に操られた結末はどうなるのでしょうか。
著者プロフィール
大阪府出身の小学校教員。音楽と読書とコーヒーを愛好し、様々なジャンルの音楽や本に触れています。コーヒーはミルクと砂糖を入れずに飲む派とのことです。
受賞のことば
「このたびは素敵な賞をいただき、本当にありがとうございます。作品を丁寧に読み、選んでくださった選考委員の先生方、編集部の皆さまに心から感謝しています。幼い頃から何かをつくり続けることが好きで、作家になることは自然な流れに感じます。子どもたちが「特別な一冊」に出会い、本を好きになること、それが大きな力と可能性を芽生えさせると信じています。子どもたちが思わず読みたくなる本、ワクワクしながらページをめくる本、そしてそっと心の支えになる物語を書いていきたいと思います。」
一般部門 選考委員選評
選考委員の先生方からの選評が発表されています。
あさのあつこ様(作家)

「今回初めて選考会に参加させていただきました。最終候補作はどれも魅力的で読ませる作品でした。『ユイガくんの祓い方』は安定感抜群で、文章の上手さとストーリーのうねりの巧みさで最後まで惹き付けられました。ただ、登場人物一人一人に対する目配りや作者の意識がもう少し届くと、さらに素晴らしい作品になるでしょう。『大富豪・大貧民ゲーム』は“お金”をテーマの中心に据え、読者に生き方を問うような骨太な作品でおもしろかったです。結末ありきで物語が進んでいるようにも感じられ、もう少し自由な展開があっても良いかもしれません。」
藤ダリオ様(作家、脚本家)

「最終候補に残った5本はどれも読みやすく、商品化まで考えたような作品でした。ただ、作者が心の底から書きたい、読んでほしい、という叫びのような小説がなかったのが残念です。プロを意識するなというのは難しいかもしれませんが、ここでは純粋に作者が書きたい小説を書いてほしいです。『ユイガくんの祓い方』は構成がうまくまとまっていますが、ヒロインのミカゲの描き方がもう少し掘り下げられると、さらに魅力的になるでしょう。『大富豪・大貧民ゲーム』は発想は面白いものの、登場人物にステレオタイプの善人が多く、ゲームのスリリングな展開が少ないのが物足りません。工夫次第でもっと面白くなりそうです。」
本上まなみ様(俳優、ナレーター)

「金賞『ユイガくんの祓い方』は怪異ものですが、ジュニア向けとしては怖すぎるのではと感じさせつつも、躊躇なく振り切り駆け抜けた著者の姿勢が良く、他作品を圧倒する力強さがありました。銀賞『大富豪・大貧民ゲーム』はスマホゲームの勝敗が家庭の資産の増減に連動するという物語です。友だちを喜ばせようとおごったことで関係がギクシャクしてしまうなど、誰しも一度は経験するような苦い体験を描いているところに好感を持ちました。隅々まで気配りある丁寧な文章が魅力です。今回贈賞とはならなかった作品もそれぞれに光るものがあり、物語を紡ぐ力をさらに育てて、ぜひ再挑戦していただきたいです。」
こども部門〈グランプリ〉作品概要
『ぼくの家族はお弁当』 伊藤彰さん(小学4年)
スーパーのお惣菜コーナーで生まれた鮭弁の弁次郎と家族たちは、ワゴンから落ちて廃棄された弟、弁三郎の分まで美味しく食べてもらおうと、他のお弁当たちとそれぞれの「能力」を駆使してお客さんにアピールします。時間が過ぎて割引シールが貼られ、家族が次々と買われていく中、売れ残った弁次郎は廃棄を覚悟しますが……。
『ごめんねの水曜日』 鈴木涼樹さん(中学2年)
記憶を亡くした“私”の墓石の前に、毎週水曜日の夕方、ミユキという少女が訪れます。彼女は墓前で日々の小さな過ちを泣きながら懺悔し、最後に必ず「ゆかりちゃん」へ謝罪します。墓石は中学生になる彼女の成長を見守りますが、やがて墓地の取り壊しが決まりました。最後の水曜日にミユキが訪れた瞬間、ついに“私”は記憶を取りもどします。
最終選考結果の内容や、各賞についてのさらに詳しい選評等は、角川つばさ文庫小説賞公式サイトにてご覧いただけます。
角川つばさ文庫・角川つばさ文庫小説賞について
「角川つばさ文庫」は、2009年3月に創刊された、子どもたちの「読みたい気持ち」を応援する児童文庫レーベルです。KADOKAWAが持つコンテンツや読者を楽しませるノウハウを子どもたちのために活用し、青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園、SF、ミステリー、ホラーなど幅広いジャンルの作品を刊行しています。レーベル名には、物語の世界を自分の「つばさ」で自由自在に飛び、自分で未来をきりひらいてほしい、本をひらけばいつでもどこへでも行ける、という願いが込められています。主な作品には『四つ子ぐらし』『時間割男子』『ぼくらの七日間戦争』『怪盗レッド』シリーズなどがあります。
「角川つばさ文庫小説賞」は、小・中学生の子どもたちにもっと読書を楽しんでもらいたいという願いを込めて、2011年9月に創設された小説賞です。



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