馳 星周 作家生活30周年記念作品『海霧 ―ジリ―』がKADOKAWAより発売

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作品概要

本作は、北海道の海と大地を舞台に、高値で取引される海産物の密漁の世界に生きる人々を描いています。孤独を抱えた青年・大樹、犬好きのホステス・霧子、そして老犬ジリの運命が交錯する、慟哭のクライム・サスペンスです。絶望と救済というテーマが深く掘り下げられています。

本作を読み解くポイント

「海霧 ―ジリ―」というタイトル

タイトルにもなっている「海霧(ジリ)」は、北海道の方言で海上に立つ霧を指します。春または夏に寒流や冷水域のある場所に暖かい湿気を含んだ風が吹き込むことで発生する濃霧で、夏の季語でもあります。また、「ジリ」は主人公・大樹の愛犬の名前でもあります。作中には、著者である馳 星周さんの出身地である北海道の豊かな風物が描かれています。

KADOKAWA 馳星周『海霧―ジリ―』

ボーダーコリーの老犬・ジリ

ジリは、5歳の時に大樹に拾われ、以来15歳になるまで共に生活してきたボーダーコリーです。牧羊犬としての賢さを持ち、大人しく、孤独な大樹に優しく寄り添う存在として描かれています。

「人は死ぬ。必ず死ぬ。時に呆気なく死ぬ。」

作中で何度も繰り返される大樹の独白は、実母の急死の後も理不尽な運命に翻弄され続ける彼が抱く諦観を表しています。霧子との出会いが、彼の人生にどのような変化をもたらすのかが、本作の最大の読みどころです。

あらすじ

海産物の密漁は、暴力団の重要な収入源の一つとなっています。特に北海道で獲れる檜山産の干し海鼠は、法外な高値で取引されています。実母の急死をきっかけに故郷を飛び出し、函館に流れ着いた青年・神野大樹は、岡村興業の若頭補佐・宮嶋が仕切る海鼠の密漁で生計を立てていました。大樹と二人きりで暮らすボーダーコリーの老犬・ジリは、その見張り役を務めています。

ジリの体調不良をきっかけに、犬好きのホステス・霧子と距離を縮める大樹。しかし、霧子は宮嶋の情婦でもありました。二人の関係に気づいた宮嶋を、霧子は衝動的に殺してしまい、男、女、老犬という孤独な三者は、生き延びるために「群れ」となることを余儀なくされます。その愛と死の物語が描かれています。

書誌情報

馳星周 海霧 ジリ

  • 作品名:海霧 ―ジリ―

  • 著者名:馳 星周

  • 装幀:國枝達也

  • 装画:松木直紀

  • 定価:2,310円(本体2,100円+税)

  • 発売日:2026年6月2日(火)

  • 体裁:四六判上製/単行本/328ページ

  • ISBN:9784041152454

  • 初出:「小説 野性時代」2024年8月号~9月号、11月12月合併号、2025年1月号~8月号

  • 発行:株式会社KADOKAWA

作品情報ページはこちらです。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322404000860/

著者プロフィール:馳 星周(はせ・せいしゅう)

1965年北海道生まれ。横浜市立大学文理学部を卒業。1996年『不夜城』でデビューし、同作は第18回吉川英治文学新人賞を受賞しました。1998年には『鎮魂歌不夜城Ⅱ』で第51回日本推理作家協会賞、1999年には『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞しています。2020年には『少年と犬』で第163回直木賞を受賞し、ロマン・ノワールの旗手として数々の作品を発表し続けています。近年は競走馬に関連する小説も多数刊行しており、文芸界きっての愛犬家としても知られています。現在の愛犬はアイトールです。

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