選考委員による評価と著者の喜び
選考委員を代表して選考経過を述べた小川哲氏は、「見えない人になにが見えてるか、逆説的な問いかけが素晴らしかった」と本作を高く評価しました。また、「一見すると塙保己一の伝記にみえるが、伝記として描く国学者としての描写はカットして、心情・周囲の人々、どこまでも見えないということを描き切った覚悟を評価した」「新しいことをやった、想像もつかないところに連れて行ってくれたところがよかった」と評しています。
会見で蝉谷氏は、「これまでとは書き方、考え方がちがった。何度も筆が止まり、編集者と話し合いをしながら執筆した」と執筆時の苦労を明かしつつ、「これまでとは違う作品になった。その作品がこうやって評価され、受賞になったのは自分の中でも背骨になる、自信になったところです」と受賞の喜びを語りました。
作品概要
『見えるか保己一』は、江戸時代後期に活躍した全盲の国学者・塙保己一(はなわ ほきいち)を主人公に、学者としての輝かしい経歴の裏にあった周囲とのすれ違い、それゆえの苦悩を濃密に描いた作品です。この機会にぜひ読んでみてください。
山本周五郎賞の選考委員は、伊坂幸太郎氏、江國香織氏、小川哲氏、今野敏氏、三浦しをん氏の5名が務めています。贈呈式は2026年6月に開催される予定で、選考経過は「小説新潮」7月号誌上に掲載されます。

推薦コメント
本作には、著名な作家や書評家から推薦コメントが寄せられています。
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作家・町田康さん
「見たいものの向こう側にある絶対に見たくないもの、見たくないものの奥底にあるどうしても見たいもの、どちらを書くのも難しいのに、その両方が書かれてありました。稀有なことです。」 -
作家・朝井まかてさん
「なんと業が深く、なんと愛に満ちた小説だろう。心がうわん、と鳴り続けて止まらない。圧倒されることが、こんなにも嬉しいなんて。」 -
書評家・大矢博子さん
「どうしよう、すごいものを読んでしまった。これは塙保己一の偉人伝ではない。分断の物語だ。決して超えられない川の両岸に立つ者たちの、叫びと足掻きの物語だ。この先何年経っても、『蝉谷めぐ実の、あの一冊』と呼ばれるに違いない。」
あらすじ
全盲の天才学者が感じたのは、絶望か希望か。俊英の新境地にして大本命の作品です。
江戸時代の全盲の国学者・塙保己一は、幼少期に失明するも学問を志し、やがて国内最大の叢書『群書類従』の編纂という前代未聞の大事業に取り掛かります。類稀なる記憶力で学者として輝かしい経歴を築いていった保己一でしたが、その傍らには常に、晴眼者――妻、学者仲間、弟子らとのすれ違いがありました。“天才・塙保己一”の胸中にあったのは、絶望か希望か、それとも――。

書誌情報
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発売日: 2026年3月13日(金)※電子書籍同日配信
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定価: 2,035円 (本体1,850円+税)
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頁数: 352頁
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装画: 及川真雪
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装丁: 坂野公一+吉田友美(welle design)
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体裁: 四六変形判上製 単行本
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ISBN: 9784041160329
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初出: 「小説 野性時代」特別編集2024年冬号、25年3月号、4月号、6~9月号、11月12月合併号、特別編集2025年冬号
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発行: 株式会社KADOKAWA
オーディオブック情報
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配信ストア: Audible(オーディブル)
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配信日: 2026年3月13日(金)
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言語: 日本語
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形式: 完全版 オーディオブック
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再生時間: 約12時間
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ナレーター: 三好 翼
著者プロフィール
蝉谷めぐ実(せみたに めぐみ)
1992年、大阪府生まれ。早稲田大学文学部で演劇映像コースを専攻し、化政期の歌舞伎をテーマに卒論を執筆しました。2020年、『化け者心中』で第11回小説 野性時代 新人賞を受賞しデビュー。2021年には同作で第10回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第27回中山義秀文学賞を受賞しました。2022年刊行の『おんなの女房』で第10回野村胡堂文学賞、第44回吉川英治文学新人賞を受賞。2024年『万両役者の扇』で第15回山田風太郎賞を受賞しています。2026年3月には、初めて歌舞伎以外を題材とした長編『見えるか保己一』を刊行しました。


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