市川沙央氏の芥川賞受賞作『ハンチバック』が全米批評家協会賞〈ジョン・レナード賞〉最終候補にノミネート

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全米批評家協会賞とは

全米批評家協会賞は、全米図書賞や国際ブッカー賞と並び、英語圏で大きな影響力を持つ文学賞です。今回市川氏が最終候補に選ばれた〈ジョン・レナード賞〉は、新人のデビュー作を対象としています。

国内外で広がる反響

『ハンチバック』は、「私の身体は生きるために壊れてきた」というテーマのもと、重度障害者としての身体と意識の流れを迫力ある筆致で描ききった作品です。2023年7月の芥川龍之介賞受賞以降、その衝撃的な内容は、日本の読書バリアフリー環境に一石を投じるだけでなく、海外へと大きな反響を広げています。

現在、世界26の国と地域で翻訳版の刊行が進められており、2025年には英訳版が国際ブッカー賞と全米図書賞〈翻訳文学部門〉のロングリストに、フランス語版がメディシス賞〈外国小説部門〉最終候補作に選出されています。今回、全米批評家協会賞〈ジョン・レナード賞〉の最終候補に残った英訳版の訳者はポリー・バートン氏です。

日本では、2025年10月にルビを大幅に増やした文春文庫版が刊行されています。

市川沙央 芥川賞受賞作『ハンチバック』文春文庫

市川沙央氏からのコメント

市川沙央氏は、今回のノミネートに対し、以下のようにコメントを寄せています。

「小さな部屋から放った非常にかぼそい声の小説が、これほど広い世界に届き、評価をいただいていることに驚いています。いや驚くにはあたらない。私の生きてきた日本はいつも世界に開かれ、世界への好奇心、世界へのリスペクト、世界への批判精神を育む土壌と度量があった。だからこそ、『ハンチバック』の声は普遍性を持ち、多くの人々に届いているのだと思います。開かれた自由と寛容さ、文化交流の豊かさが維持され、文学が人間の幸福に寄与する新しい言葉を伝えつづけることを願います。ところで『ハンチバック』とあわせて新刊『女の子の背骨』もよろしくお願いします。市川沙央/Saou Ichikawaの新刊を今すぐ原語で読めるのは日本だけ!」

『ハンチバック』の内容紹介

主人公の井沢釈華は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲した背骨を持っています。両親が遺したグループホームの自室から、有名私大の通信課程に通い、コタツ記事を書いては収入を全額寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿しています。また、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟いていましたが、ある日、グループホームの男性ヘルパー・田中にそのアカウントを知られていることが発覚し――。

書誌情報

市川沙央氏の最新作『女の子の背骨』も好評発売中です。

市川沙央氏 プロフィール

市川沙央氏

1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科を卒業されています。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側彎症および人工呼吸器を使用する電動車椅子当事者です。2023年に「ハンチバック」で第128回文學界新人賞を受賞し、同作で第169回芥川賞も受賞されました。最新作は2025年9月に刊行された『女の子の背骨』(文藝春秋刊)です。

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