芥川賞作家で医師の朝比奈秋氏、衝撃作『受け手のいない祈り』が芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞

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過酷な医療現場の真実を描く

『受け手のいない祈り』は、朝比奈氏が常勤医として救急救命医療に従事した経験を基に執筆されました。想像を絶する過酷な医療現場の真実が描かれており、命を救う崇高な目的の陰で、魂を削られている多くの医師たちの叫びが聞こえてくるような作品です。

現在、全国各地で救急救命医療体制が崩壊の危機に瀕し、医療従事者の献身によって支えられている状況に対し、本作は鋭く切り込んでいます。医療を利用するすべての人々にとって必読の作品と言えるでしょう。

著者コメントと著名人からの推薦

著者である朝比奈秋氏は、自身の医師時代の経験について「あの状況から生きて戻れたのは不思議でならない」「あの期間、おそらく世界で一番働いた。医師時代の過酷な勤務から生まれたこの小説を、読んでいただければ嬉しいです」とコメントを寄せています。

また、第170回芥川賞を受賞した作家の九段理江氏は、「同時期に発表した『東京都同情塔』ではなく、この作品が芥川賞を取ると思っていた」と、本作への高い評価を述べています。

物語のあらすじ

物語の舞台は、「誰の命も見捨てない」を院是に掲げる大阪近郊の総合病院です。青年医師・公河(きみかわ)は、別の病院の産科医だった医大時代の同期が過労死したことを知ります。しかし感傷に浸る間もなく、患者が次々に運び込まれる日々が続きます。

感染症の拡大により医療体制が逼迫し、近隣の病院が夜間救急から撤退したことで、公河たちの病院が最後の望みとなります。徹夜での治療や手術が続き、七十時間を超える連続勤務で公河たちの身体と精神は限界に達します。命を救った患者たちは日常に戻りますが、自分たちはこの地獄から出られない。作中では「我々の命だけは見捨てられるのか」という問いが投げかけられます。

著者紹介

朝比奈秋氏は1981年京都府生まれの医師です。医師として勤務しながら小説を執筆し、2021年に「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞しデビューしました。その後も2023年に『植物少女』で第36回三島由紀夫賞を、同年『あなたの燃える左手で』で第51回泉鏡花文学賞と第45回野間文芸新人賞を受賞しています。2024年には『サンショウウオの四十九日』で第171回芥川龍之介賞を受賞するなど、数々の話題作を発表しています。

書籍情報

  • タイトル: 受け手のいない祈り

  • 著者名: 朝比奈秋

  • 発売日: 2025年3月26日

  • 造本: 四六判ハードカバー 240頁

  • 定価: 2090円(税込)

  • ISBN: 978-4-10-355732-6

  • URL: https://www.shinchosha.co.jp/book/355732/

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