大阪芸術大学 文芸学科4年生・高橋 菜々実さんが「織田作之助青春賞」を受賞

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若手作家の登竜門「織田作之助青春賞」を受賞

「織田作之助青春賞」は、大阪出身の作家・織田 作之助にちなみ、彼が初めて懸賞小説に応募した24歳までの若手作家を発掘することを目的とした公募賞です。数多くの新鋭作家を文壇へ送り出してきた「若手作家の登竜門」として知られ、受賞作は伝統ある文芸誌『三田文学』に全文掲載されることから、プロへの確かな一歩を約束する賞として、毎年全国から高い志を持つ若者が挑んでいます。

2025年度は全国から285編の応募があり、その中から大阪府在住で大阪芸術大学文芸学科4年生の高橋 菜々実さんの短編小説『なきがら』が受賞作に選出されました。本賞における大阪芸術大学出身者の受賞は今回が初めてのことです。

受賞作『なきがら』に込められた思い

本を読む高橋菜々実さん

受賞作『なきがら』は、小学生の少女が下校途中に犬の死体を見つけ、そこに同級生の男子が現れる場面から始まる物語です。高橋さんは本作について、「子どもの頃から抱いていた大人や学校の先生に対する不信感や怒りがそのまま反映されている」と語っています。

影響を受けた作家として中上 健次氏や綿矢 りさ氏を挙げ、「無駄なものが極限まで削ぎ落とされているのに、描写が足りないとは感じさせない」ドライな文体を志向して執筆されました。受賞の知らせを受けた際も「正直、未だに感情が全く動いておらず、妙に冷静です」と語るその姿勢からは、作家特有の冷徹な観察眼がうかがえます。

文芸学科での学びと将来の夢

大学在学中の受賞について、高橋さんは「正直、未だに感情が全く動いていないです」と現在の心境を述べています。文芸学科での学びについては、自分の文章と深く向き合う時間が増え、文章の癖や個性が分かり、自分の文体を乗りこなせるようになったことが一番大きかったと振り返っています。

将来の夢については、現時点で特別な夢はないものの、「強いて言うなら、これから先もずっと小説を書き続けること」と語っています。

芥川賞作家・玄月教授が評価する「確固たる型」

織田作之助賞贈呈式で表彰される様子

高橋さんが所属するゼミの担当教員であり、第122回芥川賞作家の玄月教授は、3年生の時点で彼女の才能を見出していました。玄月教授は、「初めて原稿を読んだ時、『読み手への不必要な親切』とも言える余分な文章が目についたが、この人は確固たる『型』を持っているとわかった。書きたいことが明確に伝わってきた。揺るぎようのない信念のようなものが。芸術においてそれは、最大の長所である」と評価しています。

「贅肉をそぎ落として、その長所を伸ばすことだけ考えたらいい」という指導に応え、高橋さんが自身の表現を磨き続けた結果が今回の受賞をもたらしたと、玄月教授は高橋さんの快挙を称賛しました。

織田作之助賞受賞コメントを述べる高橋菜々実さん

高橋さんは受賞コメントで、「小説は私にとって、自分の内面と静かに対話できる小さな部屋のようなもので、その堅牢な部屋がいつだって私を守ってくれました」と語り、小説への深い思いを明かしました。また、選考委員の方々や支えてくれた友人、先生方への感謝を述べ、「創作をする瞬間を積みかさねていき、いつか想像もつかないほど遠い場所へいけるように努力して参ります」と今後の意欲を示しました。

受賞概要

  • 賞の名称:2025年度 織田作之助青春賞

  • 受賞作品:『なきがら』

  • 受賞者:高橋 菜々実(大阪芸術大学 文芸学科4年生)

  • 掲載誌:文芸誌『三田文学』No.163(2026年冬季号)

  • 贈呈式:2026年3月4日(水) 会場:綿業会館(大阪市中央区)

  • 主催:織田作之助賞実行委員会(大阪市、大阪文学振興会、関西大学、毎日新聞社)

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